こよりのメンテナンスルーム
病室を彷彿とさせる無機質なベッドに白い壁、天井。
何に使うのかよく分からない、見たことも無い仰々しい機械が反対側の壁に並んでいる。高そうだ。
何に使うのかよく分からない、見たことも無い仰々しい機械が反対側の壁に並んでいる。高そうだ。
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こより(ENo.90)
思考を重ねる間にも、機械は駆動を続ける。
外見情報のインプット。
構成要素のインプット。
……付属された「能力」まではどうしてもコピーすることは出来ない。
けれどそれも、そもそも必要なものでは無い。
……きっと何か「仕掛け」があったとしても、それは「勇者さま」に向けられたものであり、正式なプレイヤーではないこよりには、何ら関係の無いものなのだから。
だから、こうして「外側」だけをコピーする。
自分にとってはそれだけで、充分だからだ。
「ヘリオとの思い出」は、この2つの腕輪だけで充分だ。
外見情報のインプット。
構成要素のインプット。
……付属された「能力」まではどうしてもコピーすることは出来ない。
けれどそれも、そもそも必要なものでは無い。
……きっと何か「仕掛け」があったとしても、それは「勇者さま」に向けられたものであり、正式なプレイヤーではないこよりには、何ら関係の無いものなのだから。
だから、こうして「外側」だけをコピーする。
自分にとってはそれだけで、充分だからだ。
「ヘリオとの思い出」は、この2つの腕輪だけで充分だ。
5/18 18:43:11
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こより(90)
こより(ENo.90)
「(……どうやらかなり、システムが不安定な様子と見受けましたが)」
あれだけ明滅し、ことある事に主張をしているのだ。
きっと誰もが触れるだろう、「首飾り」の話題。
……しかしそのとき、彼女に明らかな「異変」が生じた。
「(……欠陥品、ということでしょうね)」
バグの元となる「やりとり」を「なかったことにする」ことでしかその身を守れない。
しかも、その手段もかなりお粗末だ。
きっともっと自然に、プレイヤーに気付かせないように話題を「誘導」することだって出来るはずだ。
……けれどそれすらなされなかったのは、その「対策」を興じる前に、「破棄された」───と、考えるのが当然自然なことだろう。
あれだけ明滅し、ことある事に主張をしているのだ。
きっと誰もが触れるだろう、「首飾り」の話題。
……しかしそのとき、彼女に明らかな「異変」が生じた。
「(……欠陥品、ということでしょうね)」
バグの元となる「やりとり」を「なかったことにする」ことでしかその身を守れない。
しかも、その手段もかなりお粗末だ。
きっともっと自然に、プレイヤーに気付かせないように話題を「誘導」することだって出来るはずだ。
……けれどそれすらなされなかったのは、その「対策」を興じる前に、「破棄された」───と、考えるのが当然自然なことだろう。
5/18 18:37:40
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こより(90)
こより(ENo.90)
「(……ヘリオさん)」
浮かぶのは、腕輪をくれた少女の姿。
……恐らく、自分に似て、非なるもの。
データの塊。しかしそのデータに、「自由」などない。
「(私は、勇者さま)」
彼女にとっての自分は間違いなく「勇者」なのだろう。
光魔法を用いて、魔王を倒す。
……彼女の会話から分かったのは、そんなものだ。
「(やはり、RPGのNPC……でしょうか)」
時折聞こえる謎の「ぴこん」音といい、会話から見える「勇者さま」像といい。
自らがRPGの内部に潜り込んだかのような気分は、拭いされない。
「(そして……多分、あの首飾りが)」
……『核』のようなもの。
演算処理を必要とするだろう問い掛けに、確かにあの首飾りは異音を放っていたわけだし。
多分そこまでは、間違いない。
問題は────
浮かぶのは、腕輪をくれた少女の姿。
……恐らく、自分に似て、非なるもの。
データの塊。しかしそのデータに、「自由」などない。
「(私は、勇者さま)」
彼女にとっての自分は間違いなく「勇者」なのだろう。
光魔法を用いて、魔王を倒す。
……彼女の会話から分かったのは、そんなものだ。
「(やはり、RPGのNPC……でしょうか)」
時折聞こえる謎の「ぴこん」音といい、会話から見える「勇者さま」像といい。
自らがRPGの内部に潜り込んだかのような気分は、拭いされない。
「(そして……多分、あの首飾りが)」
……『核』のようなもの。
演算処理を必要とするだろう問い掛けに、確かにあの首飾りは異音を放っていたわけだし。
多分そこまでは、間違いない。
問題は────
5/18 18:30:48
こより(ENo.90)
どこかから帰宅したこより。
……薄く微笑んで、大事に手のひらに包んだ「腕輪」を見つめた。
花で編まれた、可愛らしい腕輪だ。
壁際に並ぶ機械のひとつ。
そこに備えられたカプセルに、腕輪を入れる。
そうして、機械のスイッチを入れた。
駆動音はとても静かだ。
最新式は、こうも違う。
……薄く微笑んで、大事に手のひらに包んだ「腕輪」を見つめた。
花で編まれた、可愛らしい腕輪だ。
壁際に並ぶ機械のひとつ。
そこに備えられたカプセルに、腕輪を入れる。
そうして、機械のスイッチを入れた。
駆動音はとても静かだ。
最新式は、こうも違う。
5/18 18:23:57