石造りの小部屋

殺風景な石造りの小部屋。
へんないきものが当面の住処にしているようだ。

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> あさぎちゃん(304)
みつき(ENo.312)
「はい、甘い物は好きですしこれは本当に美味しいです。
食事は……ええ、恐らく良い物を頂いていると思います。」

まだ熱いのだろうか。
咀嚼している口元を隠しながらもはふはふと暖かな息を吐いて答える。
砂糖も小麦粉も知らないが、どちらも美味しい。
卵の殻は目の前にある。間違いなく先程の材料3つで出来たものなのだろう。覚えておこうと思った。

「でも、こんなに美味しいものはなかったです。
あさぎさんのお国にはこんなに美味しいものがあるのですね。
……あさぎさんは普段はどういう物を召し上がってらっしゃるのですか?」
11/11 23:08:37
> 蒼の魔女(312)
あさぎ(ENo.304)
(慌てるあなたの様子を楽しげに笑いながら、箸ならぬ指先を進める。)
「くは、如何だ。実にうまかろうて!」
(あなたが美味しさを感じているように見えると、自身も嬉しくなった。砂糖に初めて触れたような、そんな初々しい反応を見ていると、思わず頬が緩む。)

「あァ、やはり甘いモンは好いな。久々だ。」
(少しだけ、いつもより、お腹が満たされたような。服の上からそっと腹を撫でる。)
「おまえは良く、こういう甘いモンとか……豪華な食事とか、するのか?」
11/11 21:38:59
> あさぎちゃん(304)
みつき(ENo.312)
「お褒めに預かり、光栄です……。」

手を付けず、じっと見つめていた貴女の表情が変わる。
驚き?郷愁?意外?
どの感情だっただろう……
だが、それはきっと"良いもの"なのだ。
彼女の求めていたものが出来たに違いない。
後ろを向く姿に思わずぱっと笑う。

――自分にも、貴女にもきっと知覚されない純粋な気持ちの笑み。

「はい、わかりました。
ではわたしも食べさせて頂きま……! で、ですから!其れは、恐れ多いです……!」

そう言いながらほんの一口分千切って口に運ぶ。
味わったことのない濃厚な甘さと密度。
それを噛みしめるとざわっと何かが走った。
今までに到底味わったことのない甘さと旨さ。

「お……美味しいです!かすてらってこんなに美味しいんですね!」
11/10 22:58:34
> 蒼の魔女(312)
あさぎ(ENo.304)
「あァ。見た限りなってるぜ。流石だみつき。」
(取り分けてくれた皿に目をやりながら、意を決したように「頂きます」と呟いた。)

(ゆっくりと、口に運ぶ。)

「…………ッ!」
(甘くて、ふわふわで、ちょっと懐かしい。セピア色に灼けてくすんでいた記憶が、鮮明な色を取り戻す。家族の元にいた時の記憶。子供の時の記憶。まだ人間だった時の記憶。咄嗟にあなたの方を見る。今の自分は、きっととても間抜けな顔をしていることだろう。
慌てて背けて、顔を見えないようにした。)

「みッ、みつきぃ……。これ、凄く美味い。美味いよ。さ、おまえも食うがよかろ。」
(「あーんはもう少し、後にして遣る。」そう付け加えて、ざらめを噛み締めた。)
11/10 21:21:00
> あさぎちゃん(304)
みつき(ENo.312)
「あさぎさんの言っていた"かすてら"になってますか?」

その輝いた目にこれの瞳も小さく煌めき。
喜ぶ顔に心が躍るようだ。
客人を不快にさせなかったという安堵とはまた違う、きらきらとした感情。
しかし、それで手を止める訳にはいかない。
取り分けるように皿を置き、それから鍋を差し出す。

「ご試食を、あさぎさん。
どうぞ最初にお食べ下さい。思い出の味に出来ていたら良いのですが……。」

鍋の中に茶褐色の表面が見えているそれを食べてもらおうと、今か今かと待つ。
11/9 23:29:14
> 蒼の魔女(312)
(その様子にからからと笑う。
あなたが蓋に手を伸ばすと、更に顔を近づけて見つめた。)

「うお、お、おッ、すごい!これほんとにカステラか!?わ、わぁ……!
こッれ、美味しいんだぞ!あァ、凄くいい匂いだ。甘くて……くふ。ほら、早く食おうぜ!」
(食事を促した。その表情は輝いており、もう待ちきれないといった様子だろう。
何十年ぶりだろうか。記憶の底の種火を熾す、懐かしい香り。)
11/9 23:00:56
> あさぎちゃん(304)
みつき(ENo.312)
「あーん?
……お、恐れ多いです……!」

思わずわたわたしながら材料の入った鍋の蓋を閉じる。
気を落ち着かせようと、ふう、と気合を入れるように息を吐いてから鍋を見つめ……
ガンガンと数度横を叩いた。
そして少々時間を置いてから蓋を外す。

そこには……鍋が丸かったからか形が四角ではなく円形のカステラが出来上がっていた。
しかしザラメもしっかりとついた、しっとりとした一品である。

「出来てる、のでしょうか?
すごく美味しそうな匂いがします。」

鍋の中を見えるように傾けて差し出す。
11/9 21:26:59
> 蒼の魔女(312)
あさぎ(ENo.304)
「当然だ。わたしは懐の広い妖怪だからな。あーんだってして遣るぞ?くは!」
(ふふん、と自慢げに笑った。勿論、作ってくれているのはあなたであるが。
分量を問われる度に、答えてゆく。時折、「……多分。」「おそらく。」などと着いてはいるが、大凡は合っているだろう。
わくわくとした様子で、鍋を見つめる。)
 
11/9 19:09:35
> あさぎちゃん(304)
みつき(ENo.312)
自分での驚きや動揺が伝わったのだろうか。
貴女が息を呑んだ気がした。
首をかくん、と曲げて

(どうしました?)

――問いそうになった。
だが、ここで問うのはヒトの感情の凡例に従えば"無し"だろう。
"何故そうなるのか"理解できる筈の詰まりなのだ。

「……はい。」

理解できた上でそれを示し、流す。
それが、きっと、ヒトらしい返し。
だから、この場は微笑みながら声に出して頷く。

「素晴らしいお鍋です。
出来上がったらあさぎさんの仰って下さる通りに一緒に食べさせて下さい。」

材料をぽいぽいと中に入れていく。
時折、分量はこれで良いのかと尋ねるように貴女の方を見ながら。
11/8 22:03:24
> 蒼の魔女(312)
あさぎ(ENo.304)
「あァ。其れで合ってると思うぜ。……多分。
然うだ。彼れは本当に美味くて……おまえも喰うと良かろう。頼んだぞ。
と、……ッ。」

(彼女が自分から自身を語る言葉を初めて聞いた気がする。思えば彼女は、全て客人である己のためにものを為してきた。彼女が自身のことを語ったのも、全ては己が問うたから。彼女は、自身のことを道具と語っていた。これはその為だろう。
そして彼女の態度を見るに、きっと周囲からの扱いもそうなのかもしれない。
ならば、今のは。

客人とこの小部屋の主人。悪役と道具。

――"その先の関係"に、なれたのだろうか。

彼女を包む"道具"という繭が、これで僅かでも壊れたならいい。
そうしたらその穴から覗き込んで、おはようと声を掛けるのだ。
ふつうの友達みたいに。)

「くは!中々格の高い鍋らしいな。」

(あなたのその様子に、笑みを零す。先程までの胡乱な様子は無くなっているだろうか。
そんな風に振る舞う必要も、ない気がしてきた。)
11/7 23:07:10
> あさぎちゃん(304)
みつき(ENo.312)
「此れと此れ、ですか?」

ふたつの白い粉を見比べる。
ちょいちょいと触れてからそっと匂いを嗅いでみる。
確かにひとつは甘い香りがした。
もうひとつは嗅いだことのない不思議な匂いであるが、感触が独特だ。
それらを卵と一緒に鍋の前に置く。

「あさぎさんが昔食べたもの……
思い出の味でしょうか?
其れではちゃんと美味しく作らないと、ですね。
おもてなしの料理ならきっと素敵なものなのでしょう。わたしは……干し無花果が大好きでした。」

するりと自分の言葉が続く。
自分のことを人に話すことに自身でも驚いたが……それを表に出さないようにゆっくりと鍋の蓋を外す。
何もない、滑らかな金属の鍋。
やはり不思議な金属だなと思った。
自身の蒼い瞳と背後に立つ金髪と青い瞳。
こんなに綺麗に映る鏡すらない世界生まれの"これ"は「おお……」と思わず声を漏らした。

「凄いです!
水のように綺麗にわたしとあさぎさんが映ってます!」
11/7 01:19:13
> 蒼の魔女(312)
あさぎ(ENo.304)
(あなたの背中を見送り、手持ち無沙汰に足をぶらぶらさせている。
暫くすると、様々な材料を持ってきてくれた。)

「おお、色々有るな。わたしも貧乏舌だから、良く分からんが……ひと先ずはこの甘そうな香りのするモノが砂糖だろう。
そして……小麦粉は……ええと……。これか?」
(少女は一つの小瓶を手にする。確かに粒子が細かく、独特の感触の粉ではある。)

(見遣れば、あなたが微笑んでいた。やわらかいとはいえない、まだ少しばかり練習の必要な微笑み。
それでも、少女なりに言わせればーー”わたしが此処へ来た時よりは、マシになったじゃァないか。”といったところだろうか。)

「カステラ……昔、喰ったことがあるンだよ。わたしが人間だったころ……もう七十年ほど前のことだから、殆ど覚えていないンだが。何処か遠くの街に行ったときに、もてなしとして喰わせて貰ったンだ。うまかったよ。一番好きだったかもしれん。あの味、ずっと覚えていたかったンだが……流石に時がそこまで経つとなァ。だから、また喰ってみたかった。」
11/6 01:13:52
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