石造りの小部屋
殺風景な石造りの小部屋。
へんないきものが当面の住処にしているようだ。
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あさぎちゃん(304)
みつき(ENo.312)
撫でた手に伝わった感触はどうだったろうか。
異形の少女の手が強ばったような気がした。
気の所為だったのかもしれないが、戸惑いや受けるべきではないものを受けたような顔だと、そう思った。
だが、それは自身にとっても同じだった。
ヒトではない故に幾ら着飾ろうと重用されようと、与えられない何か。望んではいけない何かをこの少女は既にくれている気がする。
だから、何もないなりに返したかった。
喩え仮初の理解し得ない感情でも、それを示したかった。
……やがて静かに手を離して立ち上がり、棚を漁っては知らないものが詰まった小瓶や箱をテーブルへと運んでいく。
バスケット一杯の卵も見つかったようだ。
「色々ありますね。
此の中にサトウやコムギコはありますでしょうか?」
この頃にはもう元の不器用ながらの笑顔に戻っているだろうか。
「かすてら、というものは見たことがありませんが、あさぎさんがお好きなのでしたらきっと美味しいに違いありません。楽しみです。」
普段の客人相手ではない言葉で返す。
自然に出た相手を気遣いながらも取り繕わない言葉とは、こんなに心が淀まず軽かっただろうか?
異形の少女の手が強ばったような気がした。
気の所為だったのかもしれないが、戸惑いや受けるべきではないものを受けたような顔だと、そう思った。
だが、それは自身にとっても同じだった。
ヒトではない故に幾ら着飾ろうと重用されようと、与えられない何か。望んではいけない何かをこの少女は既にくれている気がする。
だから、何もないなりに返したかった。
喩え仮初の理解し得ない感情でも、それを示したかった。
……やがて静かに手を離して立ち上がり、棚を漁っては知らないものが詰まった小瓶や箱をテーブルへと運んでいく。
バスケット一杯の卵も見つかったようだ。
「色々ありますね。
此の中にサトウやコムギコはありますでしょうか?」
この頃にはもう元の不器用ながらの笑顔に戻っているだろうか。
「かすてら、というものは見たことがありませんが、あさぎさんがお好きなのでしたらきっと美味しいに違いありません。楽しみです。」
普段の客人相手ではない言葉で返す。
自然に出た相手を気遣いながらも取り繕わない言葉とは、こんなに心が淀まず軽かっただろうか?
11/5 13:40:43
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蒼の魔女(312)
あさぎ(ENo.304)
(少女は、人間の一生分を生きていた。一生分の、経験があった。なればこそ、僅かな表情の機微すらも察知することが出来た。
ああ、きっとこれは、心当たりがあるのだろう。
心が痛む。なれど見ないふりをした。
深入りするべきではない。だって、自身は一晩泊まらせてもらう、それだけの関係でしかないのだ。
ここで訊ねて何になる。先程は冷静でなかった。これ以上、彼女の痛みを掻き回すべきではないと分かっていた。
それでも、もし、ふたりが"それだけの関係"以外のものになれるのなら――)
「ッ……」
(眼前の少女の手が、自身に触れる。白魚のようにたおやかなその手は、どこかか細く見えた。
何故、突然そんなことを。そんな視線をあなたに投げかける。その手の温もりから感じ取れたのは、深い慈しみだった。
そんなものは、きっと自身に与えられてはならぬものなのに。
己はいつだって、強者ぶって、人の神経を逆撫でして愉しんで、嫌われる。そんな性格であり、それを是としていた。
こんなに真っ直ぐな愛など、与えられてはならないのに。
あなたのその言葉で、ふと我に返った。
一晩だけ、そう一晩だけなのだ。
だったら、束の間の人並みの幸福を、享受してもいいかもしれない。)
「おお!本当か。くは、楽しみにして遣るぞ!」
ああ、きっとこれは、心当たりがあるのだろう。
心が痛む。なれど見ないふりをした。
深入りするべきではない。だって、自身は一晩泊まらせてもらう、それだけの関係でしかないのだ。
ここで訊ねて何になる。先程は冷静でなかった。これ以上、彼女の痛みを掻き回すべきではないと分かっていた。
それでも、もし、ふたりが"それだけの関係"以外のものになれるのなら――)
「ッ……」
(眼前の少女の手が、自身に触れる。白魚のようにたおやかなその手は、どこかか細く見えた。
何故、突然そんなことを。そんな視線をあなたに投げかける。その手の温もりから感じ取れたのは、深い慈しみだった。
そんなものは、きっと自身に与えられてはならぬものなのに。
己はいつだって、強者ぶって、人の神経を逆撫でして愉しんで、嫌われる。そんな性格であり、それを是としていた。
こんなに真っ直ぐな愛など、与えられてはならないのに。
あなたのその言葉で、ふと我に返った。
一晩だけ、そう一晩だけなのだ。
だったら、束の間の人並みの幸福を、享受してもいいかもしれない。)
「おお!本当か。くは、楽しみにして遣るぞ!」
11/4 23:22:19
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あさぎちゃん(304)
みつき(ENo.312)
「正直、気にはなります。
ですがそうですよね……顔や手足と違ってあまり人に見せる部分ではないでしょうし……ふふ、ありがとうございます。」
話して"くれた"のだ。
認められたのだと、そう感じた。同族として心を許されたのかもしれない。
――それがどうも嬉しい。
だが、続く話にはそうであるからこその衝撃を受けた。
つまり……家族の中でも憎い者がいた?
「どちらも、いたのですね……。
家族ですらそうだから寓言だと?わたしより遥かに生きていらっしゃるあさぎさんのお言葉、現実はそうなのでしょう。
ですが、それを本当に出来る力があれば――
――力があれば、と。そう思うのです。
酷い、扱い……?」
微かに目が泳ぐ。
おずおずとあなたの手に自分の手を伸ばした。
自身ではなく、あなたのそれを慮るように優しく撫でようと。
この長く生きているヒトではない少女は、どれだけのものを強者然とした態度と顔の下に隠しているのだろう。服の下が異形であるかのように、この幼子の仮面の下は?
お客様を、一時の主を思いやるのは当然である。
だが、きっとそれだけではない。母が与えた感情の仮回路、空白の感情の上に辛うじて残っているそれのどれかが刺激されたのだ。我が事のように小さく何かが刺さる。
だから、喜ばせたい。
「ええ、何でも出来るそうです。
サトウはわかりませんが粉や卵なら其処の棚にありそうです。
色んな粉がありましたから。」
これは彼女を笑顔にしてくれるもの。
そう思って棚を漁る。
ですがそうですよね……顔や手足と違ってあまり人に見せる部分ではないでしょうし……ふふ、ありがとうございます。」
話して"くれた"のだ。
認められたのだと、そう感じた。同族として心を許されたのかもしれない。
――それがどうも嬉しい。
だが、続く話にはそうであるからこその衝撃を受けた。
つまり……家族の中でも憎い者がいた?
「どちらも、いたのですね……。
家族ですらそうだから寓言だと?わたしより遥かに生きていらっしゃるあさぎさんのお言葉、現実はそうなのでしょう。
ですが、それを本当に出来る力があれば――
――力があれば、と。そう思うのです。
酷い、扱い……?」
微かに目が泳ぐ。
おずおずとあなたの手に自分の手を伸ばした。
自身ではなく、あなたのそれを慮るように優しく撫でようと。
この長く生きているヒトではない少女は、どれだけのものを強者然とした態度と顔の下に隠しているのだろう。服の下が異形であるかのように、この幼子の仮面の下は?
お客様を、一時の主を思いやるのは当然である。
だが、きっとそれだけではない。母が与えた感情の仮回路、空白の感情の上に辛うじて残っているそれのどれかが刺激されたのだ。我が事のように小さく何かが刺さる。
だから、喜ばせたい。
「ええ、何でも出来るそうです。
サトウはわかりませんが粉や卵なら其処の棚にありそうです。
色んな粉がありましたから。」
これは彼女を笑顔にしてくれるもの。
そう思って棚を漁る。
11/2 00:15:31
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蒼の魔女(312)
あさぎ(ENo.304)
(その視線を察知し、からりと笑う。)
「くははッ!案ずるな。ぜひ見てくれ、なぞは言わんぞ?わたしも流石に恥ずかしいのでなァ。
おまえに……話したかっただけだぞ。ちょっとな。」
「其れは。半分そうで、半分そうじゃァない。わたしにも愛しい奴はいたが、憎い奴だっていた。
だが、おまえは…………然うか。然うするンだな。きっと、さぞや良い母親だったンだろうなあ。
阿呆な奴だよ。おまえ。だって、だってそんなの寓言だ。実際にそんなことはありゃァしない。
人間皆優しくなることなんて無い。どこかに悪どい奴は存在するンだぜ。
……おまえだってわたしと同じなんだろ。いや、やもすれば其れよりも酷い扱いを受けているかもしれない。
……如何してそんなこと言えるンだよ……。」
(やさしさという波が徐々に嵩を増していき、乾いた心を浸していった。暖かなそのさざ波に、溺れぬように帽子を傾け表情を隠す。
この娘は、何だって受け入れてしまうのかもしれない。悪すらも呑み込んで。だがそのさざ波は、何れその心を壊してはしまわぬだろうか。小さな亀裂を裂くように、そこから母なる海が流れ込んで。そうしてすべて物言わぬ深海の底に落ちてゆく。そんな思いが、ふと過った。
それを振り払うように向き直ると、答えた。)
「ほォう。魔法の鍋、と?面白い。なんだってできるのか?お料理とは……鍋でなくとも?
なっ、なあ!じゃあ、小麦粉と卵はあるかっ。あれば砂糖も!
わたし、カステラが食べたい!」
(先ほどの仕草とは一転し、瞳を輝かせた。)
「くははッ!案ずるな。ぜひ見てくれ、なぞは言わんぞ?わたしも流石に恥ずかしいのでなァ。
おまえに……話したかっただけだぞ。ちょっとな。」
「其れは。半分そうで、半分そうじゃァない。わたしにも愛しい奴はいたが、憎い奴だっていた。
だが、おまえは…………然うか。然うするンだな。きっと、さぞや良い母親だったンだろうなあ。
阿呆な奴だよ。おまえ。だって、だってそんなの寓言だ。実際にそんなことはありゃァしない。
人間皆優しくなることなんて無い。どこかに悪どい奴は存在するンだぜ。
……おまえだってわたしと同じなんだろ。いや、やもすれば其れよりも酷い扱いを受けているかもしれない。
……如何してそんなこと言えるンだよ……。」
(やさしさという波が徐々に嵩を増していき、乾いた心を浸していった。暖かなそのさざ波に、溺れぬように帽子を傾け表情を隠す。
この娘は、何だって受け入れてしまうのかもしれない。悪すらも呑み込んで。だがそのさざ波は、何れその心を壊してはしまわぬだろうか。小さな亀裂を裂くように、そこから母なる海が流れ込んで。そうしてすべて物言わぬ深海の底に落ちてゆく。そんな思いが、ふと過った。
それを振り払うように向き直ると、答えた。)
「ほォう。魔法の鍋、と?面白い。なんだってできるのか?お料理とは……鍋でなくとも?
なっ、なあ!じゃあ、小麦粉と卵はあるかっ。あれば砂糖も!
わたし、カステラが食べたい!」
(先ほどの仕草とは一転し、瞳を輝かせた。)
11/1 21:27:18
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あさぎちゃん(304)
みつき(ENo.312)
「お腹に?」
服と、それに添えられた手越しに腹部を見る。
外見は普通の少女にしか見えないのだが、本人がそう言うからにはそうなのだろう。
しばらくそのまま見つめていたが……しばし置いて目線を顔に戻す。
気にはなるが流石に『見せて』とは言いにくい。
「あい、していました。
家族はみんな好きでしたから……あさぎさんも?」
それから両手首の紋様を撫でて、
「――憎く、はあります。
痛いのも嫌です。が……やり返すのはいけないとお母様は言ってました。ので……もし何でも変える力があったら……そうですね、みんなが優しくなれたらなあって思います。」
まぶたを閉じ、瞳を伏せてそう言った。
そして片付けた皿の代わりに鍋を置く。
一見何の変哲もない鍋だろう、それの蓋を開けて、
「これ、魔法のお鍋なのですよ。
材料を入れてこれ作りたいと思いながら叩くとお料理が出来上がるんです。」
服と、それに添えられた手越しに腹部を見る。
外見は普通の少女にしか見えないのだが、本人がそう言うからにはそうなのだろう。
しばらくそのまま見つめていたが……しばし置いて目線を顔に戻す。
気にはなるが流石に『見せて』とは言いにくい。
「あい、していました。
家族はみんな好きでしたから……あさぎさんも?」
それから両手首の紋様を撫でて、
「――憎く、はあります。
痛いのも嫌です。が……やり返すのはいけないとお母様は言ってました。ので……もし何でも変える力があったら……そうですね、みんなが優しくなれたらなあって思います。」
まぶたを閉じ、瞳を伏せてそう言った。
そして片付けた皿の代わりに鍋を置く。
一見何の変哲もない鍋だろう、それの蓋を開けて、
「これ、魔法のお鍋なのですよ。
材料を入れてこれ作りたいと思いながら叩くとお料理が出来上がるんです。」
10/26 22:00:51
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蒼の魔女(312)
あさぎ(ENo.304)
「うむ。実に満足だ。……と、ほォう?鍋もあるのか。いや!素晴らしいな。面白い鍋、とは……。是非とも頂戴しようか?」
(かっこつけた口調の割には、とてもわくわくした様子だ。足もぶらぶらとさせている。)
(かっこつけた口調の割には、とてもわくわくした様子だ。足もぶらぶらとさせている。)
10/26 19:18:57
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蒼の魔女(312)
あさぎ(ENo.304)
「聞いて慄け。そう。わたしは妖怪だ。人間じゃァない。」
(する、と腹の辺りを撫ぜた。)
「腹に、口がついてるんだよ。比喩ではなく。この口は貪欲でな。人間だって喰っちまうんだぜ。くはははッ。」
「ほう、おまえの所はそうだったンだな。あァ、わたしにも居た。
……どうだ、愛していたか?なんて、大仰かもしれないが。」
「然うだ。それでいて、相反している。
……互いに人間によろしくない目に遭わされたんだ。」
(まっすぐにあなたの目を見た。射抜くように。)
「わたしは憎んだし、それでも何も出来なかった。死にたくないンでな。
だが、死を持たぬ体でおまえはそれを受け入れている。そりゃァ、痛いのは嫌だろうが。
……なァ、憎まんのか。おまえが何をされているのかは知らんが。奴らにやり返したいとは思わんのか。
もし、何だって変えられる力があるとするならば。おまえは如何する。」
(する、と腹の辺りを撫ぜた。)
「腹に、口がついてるんだよ。比喩ではなく。この口は貪欲でな。人間だって喰っちまうんだぜ。くはははッ。」
「ほう、おまえの所はそうだったンだな。あァ、わたしにも居た。
……どうだ、愛していたか?なんて、大仰かもしれないが。」
「然うだ。それでいて、相反している。
……互いに人間によろしくない目に遭わされたんだ。」
(まっすぐにあなたの目を見た。射抜くように。)
「わたしは憎んだし、それでも何も出来なかった。死にたくないンでな。
だが、死を持たぬ体でおまえはそれを受け入れている。そりゃァ、痛いのは嫌だろうが。
……なァ、憎まんのか。おまえが何をされているのかは知らんが。奴らにやり返したいとは思わんのか。
もし、何だって変えられる力があるとするならば。おまえは如何する。」
10/26 19:10:47
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あさぎちゃん(304)
みつき(ENo.312)
「体中の、全てがそうであると限らない?」
無意識にその言葉を拾ってしまう。
女の子ではない部分。
それは確かに存在する……ふたつの意味でそれぞれ。
彼女のはどういう意味だろう。
ヒトではないという意味なのか、その性別ではないという意味なのか、それとも……と思ったところでその思考を破棄する。
「先程申しました妹の他に兄と弟もおりましたよ。
あさぎさんにも妹さんが?」
ぱちぱちと瞬き。
それから――微かに俯く。
「わたしとあさぎさんが似たようなもの?
純粋、だなどと……きっとわたしがあさぎさんと違ってまだ世界を知らない幼子のようなものだからでしょう。まだ14年くらいしか生きておりませんし……。
ええ、満足なされましたか?
他にお鍋もありますよ。ちょっと変わっていてちょっと面白いお鍋なんです。」
空いた食器を片付けようとするだろうか。
無意識にその言葉を拾ってしまう。
女の子ではない部分。
それは確かに存在する……ふたつの意味でそれぞれ。
彼女のはどういう意味だろう。
ヒトではないという意味なのか、その性別ではないという意味なのか、それとも……と思ったところでその思考を破棄する。
「先程申しました妹の他に兄と弟もおりましたよ。
あさぎさんにも妹さんが?」
ぱちぱちと瞬き。
それから――微かに俯く。
「わたしとあさぎさんが似たようなもの?
純粋、だなどと……きっとわたしがあさぎさんと違ってまだ世界を知らない幼子のようなものだからでしょう。まだ14年くらいしか生きておりませんし……。
ええ、満足なされましたか?
他にお鍋もありますよ。ちょっと変わっていてちょっと面白いお鍋なんです。」
空いた食器を片付けようとするだろうか。
10/25 01:42:35
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蒼の魔女(312)
あさぎ(ENo.304)
「見た目は只の女の子なればなァ。ま、妖怪なのだから。身体中の全てがそうであるとは限らんがな。くは!
しかし、妹か。わたしにもいたよ。おまえは?姉妹とかいたのか。」
(何度も、何度も、砂上の城が壊れていくのを目にしてきた。否、崩してきた。そもそもあやかしの身でそれを維持することなど、バベルの塔のようなものだったのかもしれない。いくら少女の姿をしていても、その本質は隠しきれない。)
「……あァ。」
(面白い。――それは皮肉だった。)
「然うか。おまえはそう思うンだな。それもひとつの答えだ。
……おまえは、そうだな。まだ初対面だが、似たようなものを感じる。わたしと。
只、おまえはまだ純粋すぎるンだ。わたしのように捻くれてもいない。」
(捻くれていること。それは手放しに褒められるべきものではないかもしれないが、それでも。
道具として、ただそれを受け入れること。それはどこか、痛ましかった。)
「さて、ご馳走様。中々美味かったぞ、ケーキ。」
しかし、妹か。わたしにもいたよ。おまえは?姉妹とかいたのか。」
(何度も、何度も、砂上の城が壊れていくのを目にしてきた。否、崩してきた。そもそもあやかしの身でそれを維持することなど、バベルの塔のようなものだったのかもしれない。いくら少女の姿をしていても、その本質は隠しきれない。)
「……あァ。」
(面白い。――それは皮肉だった。)
「然うか。おまえはそう思うンだな。それもひとつの答えだ。
……おまえは、そうだな。まだ初対面だが、似たようなものを感じる。わたしと。
只、おまえはまだ純粋すぎるンだ。わたしのように捻くれてもいない。」
(捻くれていること。それは手放しに褒められるべきものではないかもしれないが、それでも。
道具として、ただそれを受け入れること。それはどこか、痛ましかった。)
「さて、ご馳走様。中々美味かったぞ、ケーキ。」
10/24 23:47:02
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あさぎちゃん(304)
みつき(ENo.312)
「ええ、お姉様です。
妹のようかと思いましたが同時にお姉様であるなあ、と。」
無理矢理刻まれた呪いの糸は、ただそこにあるだけ。
常に自身からも他者からも見える形で。
嗚呼……やはりヒトの姿でヒトでないものは何かとヒトと相性が良くないのか。
何か良くない目にでも遭ったのではないだろうか。
それとも、彼女はそういったヒトの業を少し離れたところから見ていたのだろうか。
――ただ。
そんな彼女の言葉に同意する程の自分の意見はハッキリと存在していない。
しかし、今は一時の主とも呼べる客人だ。
頷くしかこれは選択肢を持ちえない。
「それでも……面白いと仰るのですね。
わたしは……城が崩れることが鉄槌なのだと思います。
永遠ではない何時壊れるかわからない城に満足して崩落に巻き込まれるなんて……そう思ってしまいますと……。」
ちら、と反応を見る。
妹のようかと思いましたが同時にお姉様であるなあ、と。」
無理矢理刻まれた呪いの糸は、ただそこにあるだけ。
常に自身からも他者からも見える形で。
嗚呼……やはりヒトの姿でヒトでないものは何かとヒトと相性が良くないのか。
何か良くない目にでも遭ったのではないだろうか。
それとも、彼女はそういったヒトの業を少し離れたところから見ていたのだろうか。
――ただ。
そんな彼女の言葉に同意する程の自分の意見はハッキリと存在していない。
しかし、今は一時の主とも呼べる客人だ。
頷くしかこれは選択肢を持ちえない。
「それでも……面白いと仰るのですね。
わたしは……城が崩れることが鉄槌なのだと思います。
永遠ではない何時壊れるかわからない城に満足して崩落に巻き込まれるなんて……そう思ってしまいますと……。」
ちら、と反応を見る。
10/24 01:01:56
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蒼の魔女(312)
あさぎ(ENo.304)
「お姉様?……わたしのことか?くは!好いな。実に良い響きだ。もっとわたしを敬うが良い。」
(あなたの言葉に機嫌を良くしたのか、少女の弁舌は更に調子付く。
ま、及第点にしてやろう。先ほどよりやわらかな笑みを見て、そう思った。)
(赤い糸、という言葉がある。それは名の通り誰かを結ぶ糸となり、時には呪いとして鎖と化す。
それを彼女の瞳の色に染めたなら、こうなるのだろうか。四肢をぎゅうぎゅうと結ばれて、窮屈そうだった。
気に入らないというふうに、鼻を鳴らす。)
「そうか。まァ、効力を発揮されても困る。こんなにか弱い女の子なンだ。追っ手の大人達に囲まれちゃァ手も足も出まい?」
(素直でない言葉を、胡乱な目付きで発したあと。続く言葉を、答えを端から用意していたかのように即座に答えた。)
「あー?怖い?いいや……面白い、と思っている。」
「人間たちは滑稽な生き物だよ。異物を排除しては、自分たちだけの砂の城を建てて仮初の平穏を享受する。そんなもの、いつ壊れるか分かったものじゃァない。そして、崩れた城を地盤にまた城を建てるンだ。今まで仲間ヅラしていた奴のことを人柱にしてな。あァ、面白い!いつ、誰が鉄槌を振り下ろすか分からないのになァ、え?みつき。」
(大仰に語ったのち、突如あなたに同意を求めた。最も彼女の話は抽象的だ。
ただ、どこかまるで自身がそれを体験したかのような物言いだと感じるかもしれない。)
(あなたの言葉に機嫌を良くしたのか、少女の弁舌は更に調子付く。
ま、及第点にしてやろう。先ほどよりやわらかな笑みを見て、そう思った。)
(赤い糸、という言葉がある。それは名の通り誰かを結ぶ糸となり、時には呪いとして鎖と化す。
それを彼女の瞳の色に染めたなら、こうなるのだろうか。四肢をぎゅうぎゅうと結ばれて、窮屈そうだった。
気に入らないというふうに、鼻を鳴らす。)
「そうか。まァ、効力を発揮されても困る。こんなにか弱い女の子なンだ。追っ手の大人達に囲まれちゃァ手も足も出まい?」
(素直でない言葉を、胡乱な目付きで発したあと。続く言葉を、答えを端から用意していたかのように即座に答えた。)
「あー?怖い?いいや……面白い、と思っている。」
「人間たちは滑稽な生き物だよ。異物を排除しては、自分たちだけの砂の城を建てて仮初の平穏を享受する。そんなもの、いつ壊れるか分かったものじゃァない。そして、崩れた城を地盤にまた城を建てるンだ。今まで仲間ヅラしていた奴のことを人柱にしてな。あァ、面白い!いつ、誰が鉄槌を振り下ろすか分からないのになァ、え?みつき。」
(大仰に語ったのち、突如あなたに同意を求めた。最も彼女の話は抽象的だ。
ただ、どこかまるで自身がそれを体験したかのような物言いだと感じるかもしれない。)
10/23 23:48:42
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あさぎちゃん(304)
みつき(ENo.312)
「定命ではない……
そう、ですよね。
……ふふ。でも此処には仲間のお姉様がいらっしゃいますから。」
冗談ぽく笑う。
やはりぎこちないが警戒心はない、先程よりは自然な光がその目にはあるだろうか。
そして、まだ10数年しか生きていなくても既にヒトとヒトではないものの差を知っている。年長者の言葉に偽りはなかろうと深く頷く。
それから右手で左手首の紋様を撫でる。
同じものがスリットから除く太腿と二の腕、手首、そして喉元にも見えるだろうか。
鮮やかな蒼のシンプルな輪の紋様。
「どうやら、此処ではそういった力は無いようです。
少なくとも此処に来てから何かそういった力を感じてはいませんので……。」
乾いた唇を噛むようにして湿らせる。
それから紋様と似た色の瞳に向かって言葉を続けた。
「あさぎさんは、……ヒトを怖いと思ったことはありますか?」
そう、ですよね。
……ふふ。でも此処には仲間のお姉様がいらっしゃいますから。」
冗談ぽく笑う。
やはりぎこちないが警戒心はない、先程よりは自然な光がその目にはあるだろうか。
そして、まだ10数年しか生きていなくても既にヒトとヒトではないものの差を知っている。年長者の言葉に偽りはなかろうと深く頷く。
それから右手で左手首の紋様を撫でる。
同じものがスリットから除く太腿と二の腕、手首、そして喉元にも見えるだろうか。
鮮やかな蒼のシンプルな輪の紋様。
「どうやら、此処ではそういった力は無いようです。
少なくとも此処に来てから何かそういった力を感じてはいませんので……。」
乾いた唇を噛むようにして湿らせる。
それから紋様と似た色の瞳に向かって言葉を続けた。
「あさぎさんは、……ヒトを怖いと思ったことはありますか?」
10/22 22:03:08