ウルタール芸能事務所応接室

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> 加田住 レン(1335)
不動 綾人(ENo.1336)
自分の姿を楽しそうに眺めているレンをこちらも眺める。

『僕の方は前よりも元気といえるよ。 』

確かに、その振る舞いは以前より明るい印象を受ける。

レンの現状を見るに、何かあったという言葉では済まないほどの大きな事件があったことは明らかで。
それでも、少なくとも綾人との再会を喜んで、ニコニコしてくれている。それだけで。

「……良かった」

小さく呟き、ゆっくりと手を伸ばしその頭を軽く撫でた。
慈しむような優しい表情で。

「レンの顔が見れて嬉しいよ。本当に」

元気な顔を見せてもらいに行くと言ったし、元気であるに越したことはないのだが。
何を無事と見なすのかはその者次第であるので、今の状態が無事であると軽々には言えないのだが。
たとえ元気でなくとも、無事でなかったとしても。

レンが少しでも物事を楽しいと感じる心があるのであれば良かった。
そう思った。
5/10 23:20:36
> 加田住 レン(1335)
不動 綾人(ENo.1336)
「そうか?」

レンに綺麗になったと言われ、わざとらしくさらりと髪をなびかせ、格好をつけたポーズをしてみせた。

「レンこそ髪色かわいいじゃん。さてはイメチェンしたの黙っててびっくりさせようとしたな?」

──レンが、自分を見てなにかに気づいたのは明らかだった。

──綾人もまた、レンを見てなにかに気づいた。

不動綾人の妹は5歳の時病でこの世を去った。
当時10歳の綾人にはどうあがいてもどうにもできないことだったが、それでも何もできなかった無力感に打ちひしがれたものだった。

不動綾人は頭を残してヒトならざるものとなってしまったレンを見て、妹が死んだ時と同じ感情を抱いた。

どうしようもなかったことはわかっている。
わかってはいるが、やるせなかった。
レンは、今の自分と似たような存在になってしまったとも言えるから。
自分はそれを、少なくとも好ましい変化と受け取ってはいないから。

──それでも、綾人の変化を飲み込み「綺麗になった」と言ってくれるレンに、その言葉にふさわしいように綺麗に笑んだ。

いつものように、冷静に。
こちらもレンの変化を、飲み込んだ。

5/10 23:19:23
> 加田住 レン(1335)
不動 綾人(ENo.1336)
不動綾人はいつも冷静沈着であった。

用意周到ゆえではない。
もちろん必要な準備は怠らないが、過ぎたことをしているわけではない。
彼は不測の事態が起こったとしても持ち前の洞察力と思考の速さからいつでも臨機応変に立ち回ることができるからだ。

だから今回訪れるのは、未知の──いや、地球に住まう人間の尺度では到底測れぬ世界に関わる者たちの棲家であると察しがついた上で、待ち合わせを外に変更したり防御の備えをしたり彼らについて詳しく調査したりもせずにただ客として足を踏み入れたのだ。

人が何を神とするかは曖昧で、実際のところそれは伝承に過ぎなかったり、妖怪物の怪の類であったり、神話として語り継がれているものが事実であることは少ない。
だが、人の想像や怖れが現実のものとなる場合や、神からの干渉を受けその存在を感じ取った者が記した場合もあり、あながち夢物語とも言い難い。

綾人はレンの中に体が樹になっている女を見た瞬間ある神話で旧支配者と呼ばれるものを連想する程度にはその手の知識があり、彼女の所属する芸能事務所の名前や桔梗院関係者の噂から、言い伝えられる通りそれらの存在は実在し、測り知れぬ脅威となり得るものなのだと知った。

しかし、だからどうということはなかった。

綾人は人間としてこの世界の安寧を保つことを己の使命と心得ていた。
人間・怪異の区別なく、この世に生きとし生けるものたちが生命の営みを続けられるよう。
生命活動に関連しない異種族間の殺生、こと人間を脅かす怪異の抑制。人間の自分が介入すべきはこれのみ。

この宇宙において人間がいかに無価値であろうとも、いつ人智の及ばぬ存在に握りつぶされてもおかしくなかろうとも、今この瞬間懸命に生きる命の火を絶やさぬよう。それが綾人の願いだった。

よって、不動綾人は冷静沈着であった。

事務所の扉を開いた瞬間、自分は異界に足を踏み入れたのだと気づいた。

強大な怪異は世界の裏側、現実とは異なる位相に異界を発現させることができる。
異界は異界を発生させている怪異を祓い、儀式を行うことによって消滅させることができる。
綾人は日頃から桔梗院の依頼により人間を異界に引きずり込む怪異の討伐を行っている。
よって異界への侵入および探索、そして核の討伐・破壊──これらは日常茶飯事であった。

だからこそ、わかるのだ。
この異界を作ったのが、自分が戦ってきた怪異とは比べ物にならない、理解の及ばぬ存在であるということが。

それでも不動綾人は、ただそこにいた。
恐れるでもなく、立ち向かおうとするでもない。

八百万尾大和の見立て通り、不動綾人は己の立ち位置を弁え、何を理解しても決して揺るがない。
その身に纏う力が不動綾人という存在を別格たらしめていることは言うまでもないが、その精神もまた信念に裏付けされた確固たる個というものを持っているのだ。

5/10 23:18:45
加田住(ENo.1335)
「なんかしっくりくるね…うん、青が似合ってるよ」

全身を覗き込むように頭を揺らしニコニコと綾人のイメチェンを楽しんでいるレン。
その振る舞いは以前より明るくなったと見えるだろう。
だが、貴方の目に映る変化はそれだけではない。

レン自体に変化はないように見えるが彼女の魂を取り巻くナニカは確実に変化していた。
大樹の女神は消え失せ、だがレンそのものにその質を感じる。
その上で彼女の肉体を作る何かは既にこの宇宙のものではなくなっていた。
──それらはあやふやな概念だ。いろんな気配を内包し名状しがたき色を持つ。
なればこそ理解は避けるほうが好ましく、だが彼女を認識してやる為にあえてその形を定義するのであれば。

頭はかろうじて人間、首から下が怪異である。

以前はその肉体のすべては夢の泡沫から生まれたような存在だったのだがいまやその面影を残すのは頭部のみ。
そしてその肉体に漂う怪異性は、この事務所の内部のモノと酷似している。

鋭い者なら入ってすぐの喫茶店…つまり玄関のすぐ近くに異界の穴が開き封じられている事には気が付くのだろう。
だがその違和感を囮として精巧に隠されたこの事務所こそが異界であると綾人ならば理解できる。
ここを創ったであろう大いなる存在はもう消え失せているように感じる、では何がこの場を維持しているのか?

「来てくれてありがとう、必要な事は後で話すね」

トーンを下げた声でレンはそう口にした。
レンは綾人に自分がどう見えているか、何を考えているかを察したわけでもない。
ただそう口にしたのはタイミングだったのだろう。
5/10 21:03:37
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