彼岸僅かに近しい場所

更地に古く崩れた教会がひとつ。
それは誰のものでも無く、ただ朽ちる時を待つばかりだ。
それだけの場所ではあるが
強いて特筆する点を示すならば……

ひとつ、この場所は”対岸”に近しい事
ふたつ、教会には亡霊が居着いている事
みっつ、更地では白い茨が散見される事

これだけだ。
information!
ここはEno.1130(亡霊)の住処です。来訪者に制限はありません。
『彼岸に近しい場所』とありますが、特別な事はありません。幽霊スポットみたいなものです。
教会付きKBFとでも思ってもらえれば大丈夫です。

また、この場所では不穏な展開になる事が多く予想されます。ご了承ください。

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亡霊(ENo.1130)
『……』

音はない。
9/2 11:52:01
亡霊(ENo.1130)
────ややあって、入口の青に気がついた。
その青に触れることはない。
触れる手など持ち合わせておらず、そもそも。

『……手向けなど、もう』

やがて時が経てば花は枯れる。
茨が伸び、蔓延り、纏わるように。
9/2 08:26:31
> メモリー・オブ・ミオソティス(1146)
亡霊(ENo.1130)
『……礼を言われるような事はしていませんがぁ。
しかしどうか、帰り道にはお気をつけてぇ。』

亡霊《死者》はその場から動く事は無い。
ただあなた《生者》を見送るだけだ。
9/2 08:22:14
> (1130)
メモリー(ENo.1146)
……廃教会の出入り口に立った時。

生い茂った白茨の棘で、右手の小指の腹に小さな切り傷を作る。
傷から何かを摘み取るようにすると、女性はそのままそそくさと外へと出ていく。

――教会の白茨に、一輪の青い勿忘草が、手向けとして挿されていた。
9/2 01:07:29
> (1130)
メモリー(ENo.1146)
「……そうね。私は十分満たされているから」

「そろそろ帰るね。今日はありがとう。」

立ち上がってお辞儀をするなり、教会の外へと歩き出す。

(→)
9/2 00:59:33
> メモリー・オブ・ミオソティス(1146)
亡霊(ENo.1130)
『ご冗談を。』

忌々しいとでも言うように吐き捨てる。

『……確かに、あーたとあーしは違う。
しかしそれで良いのですよぅ。あーたは救いを齎す為のものでもなければぁ、修道士でもない。
自らの成すべき事を成し、救いたいと祈るたった1人の人物を救えるならばぁ……それ以上の事は無いでしょう?』
9/1 23:42:41
> (1130)
メモリー(ENo.1146)
「……」

ただ生きているだけでは幸せにはなれず。
死してようやく不幸から逃れる者もいる。
花として生まれてから、島を離れてからも、私はずっとそういう人々を見てきた。

私はあの島で花として静かに眠るそれを『記憶』と呼んでいるけれど。
あの島に咲く花々もいつか、枯れて、風化して。誰も知らないどこかへと消えていくのだろう。

花として残らぬことを選ぶひともいる。
それを救いというひともいる。
あなたのように。

「万人に救いを、か……すごいな」

「私は、君とは違うから。私が救えたひとは、たったひとりだけだもの」
9/1 19:01:28
> メモリー・オブ・ミオソティス(1146)
亡霊(ENo.1130)
────しかし、やがて沈黙は破られねばならない。

『教会は万人に開かれ、救いは全人に齎されなければならない。
救いに理由など必要なく、ただ来る報いのために救いの手を……』

『……あたしは、死を以て成していましたがね。』
9/1 08:03:51
> メモリー・オブ・ミオソティス(1146)
亡霊(ENo.1130)
『────……』

それが、鎮魂の為の旋律だと言うことは直ぐに分かっていた。
安息を願う葬送曲が流れる合間、時折何かを思い出すように目を伏せたが……それ以上の事はしない。
あくまでも静かに、聞き遂げていた。
9/1 07:18:15
> (1130)
メモリー(ENo.1146)
――指先が、動き出す。
初めのうちは拙いが、何かに憑かれたかのように、急速に弾き慣れた手つきへと変わっていく。

深い悲哀の中に、安らぎを帯びた調べが、枯れた空間に響く。
絶望の淵へ差し伸べられる手のように。永遠の安息を祈るかのように。
川に浮かべられた灯篭のように、音は穏やかに流れていく。

その旋律は、死せる者へと向けられていた。

曲が終わりに近づくにつれ、奏でられる音は小さくなり。
やがて、静寂が再び訪れた。
9/1 01:13:10
> メモリー・オブ・ミオソティス(1146)
亡霊(ENo.1130)
────あなたの力が阻害される事は無いだろう。
その楽器は、嘗て使われていた時の指先を覚えている。
嘗て弾かれた旋律の全てを、覚えている。

……亡霊は。
椅子に腰掛ける真似事をし、ただ黙していた。
9/1 00:59:26
> (1130)
メモリー(ENo.1146)
「ありがとう」

小さくお辞儀をすると椅子と鍵盤についた埃を払い、軽く咳き込む。

「……」

――椅子に座り、鍵盤に触れる。
読み取る記憶は、『この楽器の扱い方』と、『鎮魂の旋律』。
9/1 00:37:19
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