ウルタール芸能事務所応接室

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怪異になってしまった……と。
その言葉は自分の身にも起きていながらなお衝撃的で。

「あ…」

やはり聞いて良かった話ではなかったのかもしれず、うまく言葉が出る事もなく。
残念ながら比喩ではないだろう。そうなってしまった己を前にそんな言葉はきっと使わない。

「……えっ…と、それは」

スカートを膝の上でくしゃっと握り、そこを見つめる。
よかった事なのか悪かった事なのか、大丈夫なのかそうではないのか……何も言うことが出来ずに目が回るような気持ちだ。

(……桔梗院は?綾兄ィに何も?)

ぐるぐると回る思考の中で一つの懸念が浮かび上がりハッとする。
明らかになっていればこれだけの人がなにもされないわけがないのだろうと。
そうして顔をあげて、今度は食い入るように綾人の綺麗な顔を見つめた。

「綾兄ぃ!!何もされてないだろうね!?」
7/2 20:56:55
「三歳児!へへへ、確かにそう!」

おしまい、とポンポンされる事にはすっかり力も抜けている。
三歳児という扱いは普段なら不満に思うのだろうけれど優しい兄貴分の前では特にそんな気分にもならなかった。

「うん、そうだね…綾兄ィには甘えさせてもらおうかな」

困ったなぁ、弱みは人にあまり見せたくないのに。
……そんな気持ちではにかみながら肩を竦めて見せた。
7/2 20:46:57
> 加田住 レン(1335)
不動 綾人(ENo.1336)
レンが自分の事情を聞いてきた時、綾人はそれを予想していたが、それでも少しだけ考えた。
”どこまで言うか”を。

外部から遮断された、秘匿の空間。
とはいえ、綾人の目標のためには桔梗院にも不動の家にも絶対に知られてはいけないことがある。
同情心や共感などで言ってはいけないことだ。

だが、

「……そうだな」

あまりにも、同じだったから。

「俺も怪異になっちゃったよ」

もう何十年も繰り返してきた作りものの笑みが、今も上手にできていればいいのだが。
5/26 21:56:20
> 加田住 レン(1335)
不動 綾人(ENo.1336)
大人しく撫でられているレンを眺めつつ、思う。

こんなふうに、撫でられるのを当たり前に受け入れられるようになればいい。
誰にでも甘えられるようになればいい。

だけれど、今はこう言っておこうか。

「……レンはまだ三歳児なんだろ。いつでも兄ちゃんに甘えな」

そう言い、『おしまい』というように頭を軽くポンポンと叩き、手を離した。
5/26 21:55:06
(深い瞳。優しい瞳……でも恐ろしいほど強い瞳)

人がどういう人なのかは瞳で分かる。
だからこそまっすぐに見つめすぎるものではないとレンは思っている。
それはあちらを見つめるときにはこちらも見つめられるからと、そういう警戒心なのかもしれないけれど。

(他意がないね、綾兄ィは)

視線を逸らせば黒の中に浮かぶ青。

(ああ、これかもしれない。綾兄ィは空だ)

大空だったり、その向こうの宇宙だったり……ここに在る人はそういう深いものだ。
昔よりずっとずっと不動綾人という人間が包む世界は大きくなっているのではないだろうか?
安心感の向こうに気持ちいいほど何もないのは、そういう事なのではないのだろうか?
だからこそ甘やかされる事を怖がる必要はないのだと思い、撫でられるままにした。

暫く撫でられ、指が離れていくのを見ながらレンはぽそっと口を開く。

「綾兄ィも大変だったんだよね……あんまり深く聞いちゃダメなやつ?」

少しだけ救われた気持ちは、何かを返したがった。
……何もできないかもしれないし、そうなのだろうけれど。
 
5/26 21:23:38
笑みを返してくれる綾人に向かって元気だよとアピールするかのように、また鏡のように笑みを深めて。
そうしていると大きな手がもう一度頭に伸びてくる。

多少の硬直はしただろう、けれど首を竦めるほどではなくレンの丸い頭はそれを受け止める。
わしゃわしゃと撫でられる頭を今度は擦り付ける事無く静かに受けて「うひー!」なんて声を漏らして。
そうされている間に前髪の奥から綾人を眺めた。

5/26 21:12:05
> 加田住 レン(1335)
不動 綾人(ENo.1336)
……しかし、だ。
この子には、弱みを見せられる人がいるのだろうか?

綾人には、いない。
かつて心を許せる相手はいたが、それでも退魔師ではない普通の人間に綾人の背負うものを知られるわけにはいかなかった。

だからこそ、この道の険しさをよく知っている。

綾人は立ち上がると、レンの近くへ移動した。
そして、さっきやったように、ゆっくりと手をレンの頭に近づけ……ようとした、が。

思い直し、さっさとレンの頭に手を置きわしわしと撫でた。

甘やかされることを選ばせるのは難しい。
だから有無を言わせず撫でてやった。
俺が甘やかしたいのだから大人しく甘やかされておけと。
嫌がられてもしばらくは続けるだろう。本当に拒否されるなら流石にやめるが。
5/26 08:37:08
> 加田住 レン(1335)
不動 綾人(ENo.1336)
瓶で顔を隠したまま動かなくなったレンを、ただ静かに見守りながら考えた。

「我を通した結果なにかが良くなったのか悪くなったのかもわからない」

さっき綾人が言った言葉だ。
我を通した結果自体が悪変したら、何かを犠牲にしたとしたら、もしあの時こうだったら、もっと上手くやっていれば。
きっとレンにもそういった葛藤があるのだろう。

何かを決断する時には責任が必要だ。

──そして、何かを決断したならば、そのまま振り返らないことが必要だ。

笑顔を見せるレン。……やるじゃないか。
さっきタルトを褒めた時と同じ気分だ。

それでいい、というように、こちらもにいと笑みを見せた。
5/26 08:35:34
「……人が人らしく生きる、か」

だけど綾人の言葉を繰り返すようにつぶやいて飲み込む。
許されないけど、きっとアイツが僕に望んでくれた事。
そして……彼のともがらに許された道。

(だったら、今の僕をそう言ってくれる綾兄ィに見せるべきはこうじゃないね)

瓶を顔からずらして目を細めた。
嬉しくても弱っても、泣いてはいけない。

「ありがと!」

そこにあるのは笑顔だ。
5/25 23:35:35
「……」

顔を隠したままレンは動かない。
言葉にならない気持ちでいっぱいになり、動けない。

誰かにそう言って欲しかった自覚なんてない、そんな甘えを持ってはいなかった。
けれどそう言ってくれる人がやっとココに居た。
遠ざけていた優しい人たちの中にももしかしたら居たのかもしれない。
どんな結果になろうと我を通しても良かったのだと言ってくれた人が。

優しい友人の顔を思い出す。
自分でなく誰かと自分を想う他の存在に最後には屈したレンを肯定し、それすら見守ってくれた友人。
見守ってくれた彼もきっと思っていたはずだ、レンの好きにしていいと。
……ただそうして選んだ道の先に微笑んでくれたのも分かっているけれど。

「うん」

不器用に、そう答えるだけの自分を歯がゆく思う。
なんだ僕はこんな風に言って欲しかったのかと認めるのは、怖い。
我を選んで、タイミングを間違えて一番大切な者の幸せを見送った自分が認められていいはずはないのだ。



 
5/25 23:23:01
> 加田住 レン(1335)
不動 綾人(ENo.1336)
綾人はレンの説明を静かに聞いていた。

途中から簡略化された説明だったが、綾人の知る情報と目に見えるレンの状態を結びつけある程度詳細な事情は理解できる。

そうして、顔を隠しながら謝るレンを見つめた。

「……レンにはさ、通したかった我があったわけだろ。
それはモデルになった人間とは関係なく、レンの出自にも関係なく、レンの意志だ。
レンが、自分が怪異になったことについてどう思ってるかはわからないけどさ。
我を通した結果なにかが良くなったのか悪くなったのかもわからないし、それに俺がめちゃくちゃ心配したり追いNYINEするのを我慢して悩んでたのも事実だけど」

途中で少し軽い調子を挟んでから、微笑んだ。

「人が人らしく生きるってのは、自分の意志を貫くことだと俺は思ってる。
レンがそうできたことを俺は嬉しく思うよ」
5/25 05:00:08
説明というにはあまりにも下手くそな説明をしてはお菓子の箱を開けディップせんべいをテーブルに眺める。
あまりにも込み入った状況があり説明をあきらめたというほうが正しい。
レンはそういうやつなのだ。

「わ、おいしそう!これも後で食べようよ!」

一瞬の深刻な雰囲気はどこへやらだ。
おすすめソースの瓶を持ち上げて眺めている。
明太子のほうが気になるのか材料などの表示を眺めてうれしそうだ。
そうした元気な様子を一通り見せてはソースの瓶で顔を隠して綾人の方にまっすぐ向いて。

「……心配かけて、ごめん」

静かな声で謝った。
5/25 02:38:42
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