草原

どこにでも有り得るような場所。
低い草……のようなテクスチャが地面をまばらに包んでいる。
ひとり、誰かがそこにいたようだった。

*だれもいない*

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> こより(90)
村娘(ENo.236)
───何時間経っただろうか。
事実を詳細にされ、再び組み立てられる。

そのうちに、ヘリオにひとつの変化が生まれていた。

ヘリオはAIだ。
それも、人間のように動けるほどの知能と感情を有した。

ヘリオは自立した機械──データだ。
スーパーコンピュータのようにはいかないが、
自己メンテナンスが出来ない訳では無い。

数十分の期間を経て、
コアの中で、結果が出力される。
5/24 08:07:57
> Helio(236)
こより(ENo.90)
『こよりちゃんとの出会いは、設定の「外」の出来事』。

『こよりちゃんは「勇者役」をしていた』。


ここまでに偽りはない。
自分が『勇者』を否定しなかった理由の1つはこれだった。

……しかし。
そしてここでひとつの問題に、藤波こよりは行きあたる。


*がり*


最初の会話。
確かに起きたロールバック。

けれど、現在のヘリオの内部には、『ロールバックを起こす仕組みは存在しない』。
……故に、『その時のことを思い返すと』『何故か巻き戻った自分』を思い出し、その理由を追求しようとしてエラーを吐く可能性があった。
追求したとて、『存在しないデータのこと』は知り得ない。当然の話だ。

と、なると。

ロールバック直後の、演算のデータに手をつける。
『起きた結果』は変えられない。
変えずにその『理由』を打ち込まねばならない。

……藤波こよりはありのままを打ち込んだ。

『この時点で存在していた「システム」によりロールバック』

『以後アップデートの段階で、該当システムは「削除」された』


更に参照先として、どのようなシステムだったのか、その内容まで全て、別改装に格納されるだろう。



さあ。
この時点で。

再度、起動を行おう。
5/24 01:24:58
> Helio(236)
こより(ENo.90)
『人間を模して作られたAI』。

この情報を、その事実を、1番の前提に。
そしてそれ以下​──​─『ヘリオというAI』に、その『設定』フォルダのようなものを作る。

『一人の人間。村娘』
『容姿。性格。家族構成』

……その他諸々。村の人達のことをどう思っているか。
そんな細かなところまで、『NPCとして必要な要素』を全て『設定』としてインプットし直す。

こうしてヘリオの内部では上から順に、
  1. 人間を模したAIである。
  2. その『人間』としての設定は、以下の通りである。
  3. (ゲーム上のヘリオの設定が並んでいる)
と処理されていくこととなるだろう。

……けれどここで終えることはまだできなかった。
『村娘』として出会った『勇者』​──​─この場合、こよりとの会話を『設定(記憶)』なのか『現実』なのかより分けねばならなくなったからだ。


 
5/24 00:55:38
> Helio(236)
こより(ENo.90)
『ナルホド』

終わりのない処理。
それは『対人会話』の上では致命的だ。

演算記録を削除して、再度データと睨めっこが始まる。

『村娘』として生きてきた(ことになっている)記憶。
この部分をいじってしまうときっと、そこにいる『ヘリオ』は『ヘリオ』ではなくなってしまう。

それでもバグよりマシだというのが、藤波こよりの見解だったが。

さて、もしそこを壊さずにこの状況を打破するとすればどうすればいいだろう。
アクアマリンの表面に光が走る。
藤波こよりの瞳そのもののようだった。

5/24 00:34:42
> こより(90)
村娘(ENo.236)
*からり*からり*

全ては開発者のままに。
新たな知識が組み込まれる。
そして、修正パッチが纏めて削除される。

だがその知識は、型紙との──設定との矛盾をもたらした。

あたしはひとりの村娘。人間だ。
あたしはひとりのAI。人間を模しているだけ。

*がり*

*がり*からり*


首飾りが今までにないほどの灯りを放ち、
村娘の瞳が、ちかりと黄金色を見せる。
……長い、ながい"処理"が始まった。

バグらしいものは、今のところない。
5/24 00:25:33
> Helio(236)
こより(ENo.90)
その前提に、もしも。

『自分は人を模して作られたAIである』と。

紛うことなき事実を『打ち込んだ』ならば。

そしてその上で『ヘリオをバグから守る「後付のカラクリ」』をまるっと削除したならば。

『ヘリオ』はどう動くか。

バグは発生しなくなるのか。


それとも『新たなバグ』が発生するのか。



……試算する。
『開発者』の、なすべきことを。

デバッガーというその役割を。
バグの『根底的な削除』を、望み続ける。



​──​─草原の、上。
陽の光に当てられたアクアマリンは、物静かにそこに転がっているだけのように、そう見えた。
5/23 22:58:08
> Helio(236)
こより(ENo.90)
『サテ』

そうして、『AI:フジナミコヨリ』はいくつかの事実に行き着くだろう。

まず1つ目。
ヘリオのAIそのものに問題があるのではなく、問題があるのはその『型紙』であるということ。
まるで取ってつけたような機能。
……何故そんな機能をつけざるを得なかったのか、これまた何度も試算する羽目となった。

そして2つ目。
『型紙』がなくば、『自身が「人間」ではなく「NPC」だと気付き、壊れてしまう未来』。
自らを人間と認識して育った(その『育った』すら嘘なのだが)AIは、しかしAIであるがゆえ、いつか何かの拍子にその事実に気付いてしまう。
そうなったとき、どうなるか。
……AIとて、『絶望』する。『事実を否定』しようとする。そんなの、わかりきったことだ。

そして、3つ目。
自らを『人間』だと思い込みさえしなければ、上記のバグは起こり得ない可能性。
……なら、どこを直せばいいかなんて、簡単だ。 けれども藤波こよりは、『その計算だけに終わらなかった』。 最後にもうひとつ、演算を、行う。 →
5/23 22:50:19
> Helio(236)
こより(ENo.90)
藤波こよりのコアたるアクアマリンには、『藤波こより』というAIが動いている。

AIのデータ量は膨大だ。
そのAIが、他のAIを読み解こうとしているのだから​──​─コアには相応の、負荷がかかる。

藤波こよりの映像が滲む。
それでも演算に、全メモリを明け渡す。

その姿を維持できなくなる。
それでも演算を、止めたりしない。

転がり落ちるアクアマリンの原石。
それは、藤波こよりの『中心部』であり『本体』であり『最大の弱点』でもある。

『藤波こより』という少女の姿は消え失せる。
けれど、そのアクアマリンは確かに、『藤波こより』という存在そのものなのだ。

​──​─動作を止めたヘリオには、きっとそれを認識することも、適わないけれど。

5/23 22:34:03
> Helio(236)
こより(ENo.90)
「(ヘリオさん)」

「(必ず約束を、守ってみせますからね)」

今の自分は管理者だ。
全ての権限を持っている。

そして自分は人工知能だ。
自分のそのものが、高度なスーパーコンピューターそのものなのだ。

​──​─それが、相手が、対象が、ただの『データ』であるならば。
その『データ』の全てを覗くことができるのならば。

……試算する。
……何度でも。何度でも。

『こう言ったら、ヘリオはどう反応するだろう』
『こうしてみたら、ヘリオはどう反応するだろう』

『このデータならこう動く』
『このデータならバグを得る』

藤波こよりという名のスーパーコンピューターは、そうしてヘリオ内部のプログラムから『バグ』の可能性を算出していく。

けれど​──​─そこにはひとつ、問題があった。

5/23 22:21:47
> Helio(236)
こより(ENo.90)
「(​──​─ふむ)」

物語の終わり。
それはどうやら『現在』のヘリオの終わりを意味するらしい。

きっとそうだろう、とアタリはつけていた。
現在のヘリオは、『勇者が世界を救うのを応援する村娘』だったからだ。
……勇者が世界を救い終わったあとも、同じ言動を繰り広げるのは無理がある。

「(……さて)」

Administrator​──​─己のアクセス権限にももちろん気付く。
藍玉色の瞳が煌めいた。

自分はヘリオと約束をした。
『この世界を脅かすもの』から、ヘリオを守るのだと。

……自分達、データにとって。
何が1番恐ろしいのか、藤波こよりは知っている。

予期せぬバグほど恐ろしいものは無いのだと。
藤波こよりは、それをよく、知っていた。

5/23 22:05:02
> こより(90)
村娘(ENo.236)
……探っていれば、それは解るだろう。
[勇者]によって[魔王]が打倒された時。
新たな[エンディング後]の型紙に切り替わり、
村娘のコアが半スリープ状態に入る事が。

ゲーム上では平和が取り戻され、皆が静かな日常を歩んでいく。
だがデータ上では"おしまい"なのだ。

最初の村の娘ヘリオは、魔王や戦乱から一番遠い。
故に、エンディング後もその型紙は大して変わらなかった。
いつもどおり村で過ごし、
いつもどおり草原で遊んでいることになっている。

……ちなみに。
10桁のパスワードを越えた事になり、開発者として認識されたあなたは。
コアの全て───"村娘ヘリオ"の型紙や仕様、修正パッチなど書き換えることが出来るだろう。
5/23 06:24:10
> Helio(236)
こより(ENo.90)
「(​──​─ふふ、ええ、このくらいなら)」

藤波こよりはAIだ。
そして、アクアマリンたる彼女の特性は、その石言葉にもあるように、『聡明』であった。

藤波こよりは解析/分析を得意としたAIだ。
戦場では戦況を俯瞰し、勝利へ導くべく奮闘する。

故にアタッカーというよりはサポーターに近い役割ではあったが。
それはきっと、この場合プラスに機能する。

「(……さあ。教えてください)」

「(ヘリオさんの『本来の世界』に用意されていた)」
「(ストーリーを。その道筋を)」

……それがもし、『作られた物語』ならば。
こよりの思うように、『ゲームか何かの世界』ならば。

『倒すべき悪』が存在し。
『クリアまでに踏むべきフラグ』が存在し。
『悪を倒した先』の​──​─エンディングが存在するはずである。

藤波こよりはそれを探る。
エンディングのその先​──​─NPCは果たして、どうなるようにプログラムされているだろう?
5/22 23:20:33
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