ウルタール芸能事務所応接室

導入は別の場所かも

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> 加田住 レン(1335)
不動 綾人(ENo.1336)
「ハハ、女の子は急に「部屋取ってあるよ」なんて言われたら準備がなくて困るからやめとけよ」

なぜかおっさんに向けたアドバイスをしながら手を離す。
遊び慣れしたおっさんの言葉には説得力があった。

「ちょっと待って、挨拶だけさせてくれ」

鍵を取り出すレンを制して提げていた紙袋を見せた。
──今の状態を外部の者にあまり見られたくなく、しかし喫茶店という性質上誰が入ってくるかわからないので早いところ撤退したいということなのかもしれない。
そう思いながらも、客として招かれた以上最低限の礼節は欠かさない。
誰かが入ってきて困ることがあるなら自分の認識阻害術でなんとかしようと考えつつ、カウンターに向かい金髪の青年に声をかけた。

「どうも、不動綾人という者です。挨拶が遅れてすまないね、今日はよろしく。
土産を持ってきたんだけど、ここで預かってもらったらいいかな?
事務所の皆さん用と、猫がいっぱいいるって聞いてたから猫用にもいくつか持ってきたんだけど。よかったら」

レンはこれから自分と応接室に行くのだから事務所用の土産を渡しても持て余すだろうから、レン用の土産のみ応接室まで持って行って後で渡すとしよう。

ちなみに土産の中身は、事務所用の方はサワースティックで有名な王室御用達のクッキーセット。
猫用に持ってきたのはチュールと猫用の鰹節。

「俺猫飼ったことないからよくわからないんだけど、人間の食べるもの食べたら身体に悪いんだってね?
これなら大丈夫だろうって猫飼ってる友人に聞いて持ってきてみたんだけど、口に合わなそうなら持って帰るから大丈夫だよ」

そう付け加えながらとりあえずカウンターに土産を置いた。
もし所長に直に持って行けと言われでもすればこの場は引っ込めるだろう。
5/11 20:32:01
> 加田住 レン(1335)
不動 綾人(ENo.1336)
レンの髪色については、「今年は毛先にホワイトベージュ入れるグラデーションカラーが流行ってるし良いんじゃないか?似合うよ」と褒めた。
綾人は流行に敏感で美的センスも高いので信用しても良いだろう──自分の服装に関してはたまにワンポイント足す程度でさほど流行を取り入れてはいないが。

触れられるのが苦手そうな様子や、実際触れられると緊張が解けて掌にすり寄ってくるのが、人間に慣れていない猫のようで微笑ましさに目を細めた。

レンの存在は以前から特殊性があり、現在はさらにそれが深まったともいえるが、心は普通の女の子なのだ。少なくとも、綾人にはそう感じられた。

先ほどレンは「必要な事は後で話すね」と言っていた。
この異界の創造主の気配を纏ったレン。
何事もなかったかのように「普通の女の子」として生きるのは容易ではないのかもしれない。

だが、自分にできることならどうにかしてやりたいと思った。
やはり、天秤は五分から傾いた。

5/11 12:33:10
撫でられるのを楽しんだ後、レンはそちらを見上げて首を傾げた。

「喫茶店の入り口で戯れるのもなんだし、移動する?
事務所の部屋の鍵預かってるからそこでゆっくりしようよ」

そういって部屋の鍵をとりだして見せてから…少し変な顔をした。

「あー、なんか今の女の子を誑かす時のおっさんみたいだった……」

身も蓋もない。
5/11 03:38:25
加田住(ENo.1335)
そうしてはしゃいでいるとゆっくりと大きな手が伸びてくる。

レンは、触られるのが苦手だ。
アイドルという職に就いていた以上、握手会には慣れたけれど人に触れられるのは怖いというよりも嫌いだった。
伸びてくる手をじっと見つめる。
その手が頭に置かれる瞬間、目をキュッと閉じて猫のように首を引っ込める。

(……うん、綾兄ィだ)

嫌悪感はなかった。
親しい人でもごく一部を除いてこんな風に触れられて平気な人は少ないのにな……と内心苦笑する。
綾人はこうして人の内側に入ってくるのが得意な人なのだろう…とレンは思う。
それが他意の無さによるものか優しさを感じ取れるからなのかはわからないけれど、いつの間にか緊張は解けていた。

よかった、と綾人の声がする。

(うん……あなたもそうだよ、無事でよかった)

それは言葉にできない。
元気かなと思いはしていたが身を案じていたわけではないはずだ。
それでも綾人に対してレンもそう思った。

「僕も……顔が見れて本当に嬉しい、よ」

慣れた猫がそうするように、綾人の掌に頭のてっぺんを押し付けるように擦りついてそう答える。
……これが甘えるという行為である事だなんて自覚はないままに。
5/11 03:29:18
加田住(ENo.1335)
「黒だと綾兄ィの白い肌が生えるよね、ほうほうほう……!」

そうして楽しそうに変化した綾人の姿を眺めていると自分の髪色についても触れられる。

「あー……これはイメチェンじゃなくて……
自然発生の白髪?なんだけどね。
根本じゃなくて毛先が白っぽくなるの、変だなぁって思っていたんだけど」

ポニーテールの毛先を持ち上げてくるくると回す。

「でも綾兄ィが可愛いっていうなら大丈夫だね。自信出たかな、ありがと」
5/11 03:14:51
> 加田住 レン(1335)
不動 綾人(ENo.1336)
自分の姿を楽しそうに眺めているレンをこちらも眺める。

『僕の方は前よりも元気といえるよ。 』

確かに、その振る舞いは以前より明るい印象を受ける。

レンの現状を見るに、何かあったという言葉では済まないほどの大きな事件があったことは明らかで。
それでも、少なくとも綾人との再会を喜んで、ニコニコしてくれている。それだけで。

「……良かった」

小さく呟き、ゆっくりと手を伸ばしその頭を軽く撫でた。
慈しむような優しい表情で。

「レンの顔が見れて嬉しいよ。本当に」

元気な顔を見せてもらいに行くと言ったし、元気であるに越したことはないのだが。
何を無事と見なすのかはその者次第であるので、今の状態が無事であると軽々には言えないのだが。
たとえ元気でなくとも、無事でなかったとしても。

レンが少しでも物事を楽しいと感じる心があるのであれば良かった。
そう思った。
5/10 23:20:36
> 加田住 レン(1335)
不動 綾人(ENo.1336)
「そうか?」

レンに綺麗になったと言われ、わざとらしくさらりと髪をなびかせ、格好をつけたポーズをしてみせた。

「レンこそ髪色かわいいじゃん。さてはイメチェンしたの黙っててびっくりさせようとしたな?」

──レンが、自分を見てなにかに気づいたのは明らかだった。

──綾人もまた、レンを見てなにかに気づいた。

不動綾人の妹は5歳の時病でこの世を去った。
当時10歳の綾人にはどうあがいてもどうにもできないことだったが、それでも何もできなかった無力感に打ちひしがれたものだった。

不動綾人は頭を残してヒトならざるものとなってしまったレンを見て、妹が死んだ時と同じ感情を抱いた。

どうしようもなかったことはわかっている。
わかってはいるが、やるせなかった。
レンは、今の自分と似たような存在になってしまったとも言えるから。
自分はそれを、少なくとも好ましい変化と受け取ってはいないから。

──それでも、綾人の変化を飲み込み「綺麗になった」と言ってくれるレンに、その言葉にふさわしいように綺麗に笑んだ。

いつものように、冷静に。
こちらもレンの変化を、飲み込んだ。

5/10 23:19:23
> 加田住 レン(1335)
不動 綾人(ENo.1336)
不動綾人はいつも冷静沈着であった。

用意周到ゆえではない。
もちろん必要な準備は怠らないが、過ぎたことをしているわけではない。
彼は不測の事態が起こったとしても持ち前の洞察力と思考の速さからいつでも臨機応変に立ち回ることができるからだ。

だから今回訪れるのは、未知の──いや、地球に住まう人間の尺度では到底測れぬ世界に関わる者たちの棲家であると察しがついた上で、待ち合わせを外に変更したり防御の備えをしたり彼らについて詳しく調査したりもせずにただ客として足を踏み入れたのだ。

人が何を神とするかは曖昧で、実際のところそれは伝承に過ぎなかったり、妖怪物の怪の類であったり、神話として語り継がれているものが事実であることは少ない。
だが、人の想像や怖れが現実のものとなる場合や、神からの干渉を受けその存在を感じ取った者が記した場合もあり、あながち夢物語とも言い難い。

綾人はレンの中に体が樹になっている女を見た瞬間ある神話で旧支配者と呼ばれるものを連想する程度にはその手の知識があり、彼女の所属する芸能事務所の名前や桔梗院関係者の噂から、言い伝えられる通りそれらの存在は実在し、測り知れぬ脅威となり得るものなのだと知った。

しかし、だからどうということはなかった。

綾人は人間としてこの世界の安寧を保つことを己の使命と心得ていた。
人間・怪異の区別なく、この世に生きとし生けるものたちが生命の営みを続けられるよう。
生命活動に関連しない異種族間の殺生、こと人間を脅かす怪異の抑制。人間の自分が介入すべきはこれのみ。

この宇宙において人間がいかに無価値であろうとも、いつ人智の及ばぬ存在に握りつぶされてもおかしくなかろうとも、今この瞬間懸命に生きる命の火を絶やさぬよう。それが綾人の願いだった。

よって、不動綾人は冷静沈着であった。

事務所の扉を開いた瞬間、自分は異界に足を踏み入れたのだと気づいた。

強大な怪異は世界の裏側、現実とは異なる位相に異界を発現させることができる。
異界は異界を発生させている怪異を祓い、儀式を行うことによって消滅させることができる。
綾人は日頃から桔梗院の依頼により人間を異界に引きずり込む怪異の討伐を行っている。
よって異界への侵入および探索、そして核の討伐・破壊──これらは日常茶飯事であった。

だからこそ、わかるのだ。
この異界を作ったのが、自分が戦ってきた怪異とは比べ物にならない、理解の及ばぬ存在であるということが。

それでも不動綾人は、ただそこにいた。
恐れるでもなく、立ち向かおうとするでもない。

八百万尾大和の見立て通り、不動綾人は己の立ち位置を弁え、何を理解しても決して揺るがない。
その身に纏う力が不動綾人という存在を別格たらしめていることは言うまでもないが、その精神もまた信念に裏付けされた確固たる個というものを持っているのだ。

5/10 23:18:45
加田住(ENo.1335)
「なんかしっくりくるね…うん、青が似合ってるよ」

全身を覗き込むように頭を揺らしニコニコと綾人のイメチェンを楽しんでいるレン。
その振る舞いは以前より明るくなったと見えるだろう。
だが、貴方の目に映る変化はそれだけではない。

レン自体に変化はないように見えるが彼女の魂を取り巻くナニカは確実に変化していた。
大樹の女神は消え失せ、だがレンそのものにその質を感じる。
その上で彼女の肉体を作る何かは既にこの宇宙のものではなくなっていた。
──それらはあやふやな概念だ。いろんな気配を内包し名状しがたき色を持つ。
なればこそ理解は避けるほうが好ましく、だが彼女を認識してやる為にあえてその形を定義するのであれば。

頭はかろうじて人間、首から下が怪異である。

以前はその肉体のすべては夢の泡沫から生まれたような存在だったのだがいまやその面影を残すのは頭部のみ。
そしてその肉体に漂う怪異性は、この事務所の内部のモノと酷似している。

鋭い者なら入ってすぐの喫茶店…つまり玄関のすぐ近くに異界の穴が開き封じられている事には気が付くのだろう。
だがその違和感を囮として精巧に隠されたこの事務所こそが異界であると綾人ならば理解できる。
ここを創ったであろう大いなる存在はもう消え失せているように感じる、では何がこの場を維持しているのか?

「来てくれてありがとう、必要な事は後で話すね」

トーンを下げた声でレンはそう口にした。
レンは綾人に自分がどう見えているか、何を考えているかを察したわけでもない。
ただそう口にしたのはタイミングだったのだろう。
5/10 21:03:37
「そう、恐ろしいまでに不動綾人は不動綾人と言うより他ない」

くつくつと喉の奥で嗤う。
これでは思案も危惧も配慮も意味をなさない。
己が滑稽に思えるほど無意味な心配を大和は笑った。

ウルタール芸能事務所が欲しがる人間は二種類。
もちろん芸能に携わりたい人物であることは前提だが、こっちは退魔師としての話だ。

先ずは、興味以外に鈍い者。
どんなに強さを持とうが外なる世界に鈍いものは存在する。
こういうものは好ましい。ウルタール芸能事務所の内部にあってその本質を視る事はない。
彼らは彼らとしての強さを持ち、簡単に深淵の影響を受けたりはしない。

そして、狂気を凌駕する個を持つ者。
深淵の内に己の立ち位置を見出し、維持できる者。
こういうものは望ましい。彼らは異界においてその呼び声に応える事はない。
興味を持ち応じたとしても自らを変質させることはないだろう。

「お前もその筈だったんだがな」

自分の右腕だった男を思い出す。
その男は確かに狂気に耐えうる性質をしていたが情に負けて、ただレンの為にその身を深淵に寄せてしまった。
だからこそ、この城から退出させるしかなかった。

「俺らが俺らとして成り立っていく条件のようなモンだ。
ウルタールに居てこっちの神話に存在を寄せるようなヤツは置いとけねぇ」

そうでなければ、ウルタール芸能事務所は退魔師たちに滅せられるだろう。
この事務所が外なる世界を拡げる為にある門であるのか、外なる世界を封じ込めるための門なのか。
桔梗院をはじめとする各組織はそこを見張っている。
ならばこの場を続けていく為の絶対条件は後者であることだった

「つまり面接は合格だ、不動 綾人……あとはお前さん次第、だな」
5/8 19:17:21
綾人が事務所に足を踏み入れたその瞬間、その存在を意識するものがここにも一人。
気を張っていたわけでも観測しようとしていたわけでもない、それでも理解するしかない。
なぜならこの場所はこの男の城なのだから。

「は……これが不動綾人か」

全身が総毛立つ感覚。
この場において王の存在を脅かすほどの存在感。
思わず大和は笑っていた。

「……話が違うじゃねぇかよ桔梗院、聞いてねぇぞこんな」

取り寄せた不動綾人の情報ファイルを持ち上げ、机の上に投げた。

「こんな……化け物とは、言い難いねぇ?
さてこれはなんて評する?神か?支配者か?どれでもない」

大げさな独り言をいい、ジェスチャーをする彼の口調は楽しそうだ。

ここはウルタールだ。
異界にあって深淵だ。
その王城に踏み込んでなお精神を揺るがす事はなくその者はその者の足場を深淵よりはるか高くに置いている。
そんな完全な異物の筈の存在が周囲を揺るがすこともせずに来客として訪れているのだ。
これが笑わずにいられようか。


 
5/8 18:57:14
イメチェンだ!

レンは予め言われていた言葉でその感覚を飲み込んだ。

「わぁぁ……以前より綺麗になったね!綾兄ィ!

綾人はより美しくなった。そう感じた。それだけ。
本当はそれだけではないはずなのだが、それでもそれだけの事にした。
野生動物が強いものを見たときにその強さ何かと定義しないように、レンも綾人を綾人と認識出来ればそれでよかった。

「イメチェンしたって言ってたけど……うん、その方が似合ってるよ」

揺れる闇に秘められた蒼炎のような髪を目を細めて見つめ、微笑む。
より彼らしくなったと、そう思うのだ。

5/8 18:42:21
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